高知のかつおのたたき文化

南国土佐名物、かつおのたたきを食らう!

南国高知のかつお食文化

美味し国、南国高知。黒潮流れる太平洋、全土の約8割を占める山林、美しき清流―豊かな自然は味覚の宝庫!野趣溢れる郷土料理の数々を彩ってきました。中でも、高知の食文化を語る上で欠かすことのできない存在、それがかつおです。
かつおたたき文化黒潮の恵み豊かな土佐湾はかつおの回遊ルートにあたり、古くから好漁場として栄えてきました。高知とかつおの歴史は古く、平安時代の書物『延喜式』にも土佐からの献上品としてのかつお(当時は「堅魚」という名で呼ばれていたそうです)の記録を見ることができます。さらに高知のかつお漁法として有名なのが、一本釣り。この漁法は江戸時代初期に始まったと言われ、巻網漁が台頭する現代においても、かつおの魚体を傷つけることなく釣り上げる方法、また海に優しい方法としてこの一本釣りにこだわり抜く漁師たちの勇壮な光景を目にすることができます。

かつおは高知県民にとって無くてはならない存在。高知県民のかつお年間消費量は、全国トップ!それも全国平均の5倍もの消費量を誇る、ダントツの1位なのです。そんなかつおは、高知の食文化に大きな影響を与えてきました。その代表料理と言えば、たたき。強火で炙ったこうばしい香りと、分厚く切った肉の濃厚な旨み―。土佐の名を取った「土佐造り」という呼び名でも全国に広く知られています。しかし高知が誇るかつお料理はたたきだけではありません。刺身、塩辛、角煮、焼き物、コロッケ、お茶漬け―個性豊かに並ぶかつお料理が、高知の食卓・酒宴を華やかに彩っています。

● 由来 ●

高知のかつおのたたき、その由来

かつおたたき高知でかつおのたたきがどのように誕生したのかというのには諸説あり、現在でもはっきりとしたことはわかっていません。初代土佐藩主・山内一豊が生のかつおを食べて食中毒になった領民を見て刺身禁止令を出したため、表面を焼くことで焼魚と偽って食べていたというのがその一つ。また漁師たちが船上で作って食べていたまかない料理がその起源だという説。実際に長宗我部元親が安芸の浜でかつおの大漁に行き当たり、ステーキのように焼いて食べたという記録が残っているとも言います。

さらにこの料理の特徴は、「たたき」の名で呼ばれるように、表面を炙って分厚く切った後塩などをたたきこませること。これが皮目を炙っただけの「焼き切り」との大きな違いになっており、かつお漁が盛んに行われていた太平洋沿岸地域の中でも、高知特有の食文化として誕生したものではないかと考えられています。皮目を強火で炙り塩をたたきこむことでかつお特有の生臭みを消し、身を引き締め、皮と身の間にある脂を全体に行き渡らせる―かつおを愛して止まない高知だからこそ生まれた、かつおをおいしくいただくための様々な工夫が凝らされた調理法、たたき。時代が変わり、様々な料理が生まれゆく中で、高知のかつおのたたきは変わらず人々に愛され続けているのです。

● 個性 ●

高知で愛される、個性豊かなかつおのたたき

今や土佐料理の代名詞ともなっている、かつおのたたき。30cmを越える大皿料理・皿鉢料理にもこのたたきが豪快に盛り付けられ、宴席を華やかに彩っています。

高知の食べ方かつおたたき高知では、かつおのたたきのたれや薬味にも地方によって様々な工夫があります。高知県西部では「醤油だたき」、中部では醤油と酢を合わせた「二杯酢のたたき」、ゆずの栽培が盛んな東部ではゆず酢に醤油を少量合わせた「ゆの酢だたき」が伝統的に食されてきました。ほかに三杯酢や土佐酢などを使うこともあります。また薬味には定番の大根やタマネギのほか、高知のスタミナ源・ニンニクを欠かすことができません。また夏にはハスイモの茎「リュウキュウ」がたたきの脇を飾り、爽やかな清涼感を演出しています。

さらに高知のかつおのたたきは、その焼き方についても様々な方法が試されてきました。中でも有名なのが藁焼き。藁特有の香りがたたきのこうばしさをさらに引き立てています。ほかにも松葉焼きや炭火焼など、地域や家庭によって焼き方の工夫がなされてきました。そこには稲作が盛んで藁が豊富にある、松葉が多く手に入るといった土地条件なども大きく関係しており、まさしく郷土料理の代表としての面を伺うことができます。

また消費量全国トップの高知県だからこそ、常に新鮮なかつおが流通し、おいしいたたきを食すことができるというのも大きな魅力の一つ。かつおのたたきは、かつお王国・高知が誇る究極の逸品なのです。

土佐料理司・ねぼけ